2006年6月30日金曜日

1ドットの価値

Pict0048
最近のゲーム機は解像度、色数ともにすごく精細になってきていて、昔のゲーム機にくらべると”1ドッドの価値”は下がってきているように思えます。



たしかにそれは、数字の上でも判断することができて、たとえば、次世代機では、画面全体にしめる1ドットの割合は、ほんとに小さくなってきていたりします。



しかし、そんな現在でも、1ドットがプレイヤーに与える影響は小さくないのだということを、レッツ学校の制作時に実感する機会があったので、その話をしようと思います。よかったら、続けて読んでみてください。



それは、レッツ学校の制作も終盤に差し掛かり、日々、デバッグ(業界用語で、ゲームをテストプレイして、問題を見つけたりするコト)をしていた時のことです。ゲーム内容のチェックもあり、1日中、プレイを続けていた私は、なんだか画面の角が非常に鋭利に見えだしたんですね。テレビ画面と違って、PSP の液晶は1ドットもくっきりと表示されますから、画面の4隅の直角な角が、とっても鋭利で、目に痛く感じだしたんですヨ。



一度、気になりだすと、もう、止まりません。ずっと気になりだしてしまいました。



そして考えた訳です。きっとこれは、ゲームを遊ぶ人たちも感じるに違いないと。だとしたら、これは、解消しなくてはいけない問題だと認識しはじめました。



この目に痛い(と思われる)鋭利な4隅の角をなんとかしたいと考えはじめて、たどりついたのは、少し前に読んでいた"Revolution in The Valley" の中の1つの記事です。



どんな記事かというと、Macintosh の開発当時、それまでコンピュータのグラフィクスではあまりなじみの無かった、RoundRect(角が丸い四角)の重要性をスタッフに力説するスティーブ・ジョブズのエピソードなんです。



ジョブズは、「RoundRectなんてムダだ」というプログラマたちに対して、世の中にどれだけ Roundrect が溢れているか、ソレがデザイン上、重要なのかを説き伏せるのですが、まさにコレだと、おもったんですね。



鋭利な角が目に痛いのならば、丸くしてしまえば良いんです。



ただ、しかし、ここで角を Mac みたいに丸くしてしまうだけでは、芸がありません。重要なのは、鋭利な角を無くすことであって、RoundRect ではないのです。また、せっかくの広いPSP の画面を1ドットでもムダにしたくないという、ちょっと矛盾した思いもありました。



そんな思いがありつつ、いくつかサンプルを作り、テストてみて、これがベストだと思えたのは、画面の4隅を「1ドット」だけ落とす(何も表示しない黒いドットにする)という処理でした。これでも、角が丸く見えるから、不思議なものですね。



そして、この4ドットの処理によって、画面の角が目に痛いと感じたりすることは、なくなったんです!おまけに、なんだか画面もカワイイ感じなった気がして、一石二鳥でした。



もし、今、手元にレッツ学校がある方は、画面の4隅を見てみてください。
どんな画面でも、4隅の黒いドットたちが、画面全体を微妙に RoundRect にして、角をなくしてくれていると思います。



レッツ学校の画面の4隅は、このような理由で、黒くなっているんですヨ











レボリューション・イン・ザ・バレー―開発者が語るMacintosh誕生の舞台裏


Book

レボリューション・イン・ザ・バレー―開発者が語るMacintosh誕生の舞台裏


著者:アンディ ハーツフェルド

販売元:オライリージャパン

Amazon.co.jpで詳細を確認する



0 件のコメント: