2006年2月7日火曜日

ゲームとトイ

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Web2.0を活用する10の方法、その3 を読んでゲームについて考えたんで、書いておこうと思います。



ゲームの企画をイロイロと考えていると良く出てくる話なんですが、それは「ゲームなのか」「トイ(おもちゃ)なのか」という話があるんですね。この文脈で語られるゲームというのは、「ルールがあり、そのルールの上でプレイヤーが遊ぶモノ」という、テレビゲームだけでなくて、たとえばスポーツの試合(ゲーム)というくらいまで拡張しても通用するくらいのモノをさします。



一方、「トイ」とは何かというと、それ自体にルールがないモノ。たとえば、「積み木」や「ボール」といったモノ。遊ぶ人間(プレイヤー)が、それを使ってどう楽しむかを考える必要がある物という意味でして、ちょっとカッコイイ言い方をするなら、遊ぶ側のクリエイティビティが必要とされるモノとか、そう言うことです。



さらに具体的にいうならば、野球はゲームで、バットやボールはトイです。



ゲームの企画会議なんかでは、この2つは明確に区別されて、「それは、ゲームじゃなくて、トイだよね」なんてコメントもよく出てきます。つまり、ゲームとして成り立たせるには、ルールが足りていないと言うことや、プレイヤーに投げっぱなしにしてしまっているということを言いたいわけです。なので、企画会議でのこのコメントは、ほめていない時がほとんどだったりします。





しかし、ルールがガチガチに決まっていて自由度の低いゲームはあまり面白くありませんから(もちろん例外もあります)、ある程度の自由度は当然必要になります。というより、多くのゲームの企画者はより自由度の高いゲームを作りたがる事がおおく、そうして、ゲーム制作の過程では、ゲームがゲームであるために、ルールを考案しプレイヤーに課していくという事と、逆に、可能な限りプレイヤーには自由を与えたいという矛盾した思いが交錯することになるわけなんです。なにを拘束して、なにを自由にするかという事はホント、最後まで頭の痛い問題でなんですよね。まぁ、それぞれ矛盾しているわけなんで、悩まずにすむわけないんですケド。



いろんなモノを自由にできない理由には、たとえばゲームの内容的な面からだけではなく、自由度を上げると、ケアしなくてはいけない部分も非常に増えてしまってやりたくてもできないという、制作者の都合的な部分もアリはするのですが、それ以外にもさっきのコメントにもあるように、あまりにも自由に出来るゲームだとプレイヤーがナニをやったらいいのか分からなくて、不親切なゲームになってしまうから、という側面もあるんです。というか、この理由が大きいんですよね。最近のコンシューマのゲームでは、もう、イヤになるくらい、プレイヤーに対してのケアがありますし、プレイヤーができるだけ迷わないように、レールを敷いてあげて、ゲームを進行できる様に作成する事が通例になってしまっています。



もちろん、そのようなゲームにも良いトコロもあるのですが、逆にゲーム制作者としては、出来るだけ自由度の高い、プレイヤーの自由に任せられるゲームを作りたいと思っている人は多いと思うんです。そして、ウチの会社もそのようなゲームを良しとするような雰囲気が強かったりします。



一方で、そういうゲームって、やっぱし「不親切」とか「ナニやったらいいかわからない」とか酷評されることも少なくなかったんですよね。なので、不本意ながらも、プレイヤーの自由度を制限するようなゲームデザインだったり、ストーリーだったりにしてしまうと言うことも、残念ながらよく行われていると思います。



すこし古い話ですが、「ドラクエ2」で主人公が船を手に入れた後、プレイヤーは自由にいろんな場所へ移動できる様になるんですが、これは制作者の堀井祐二氏が「これまで筋書き通りの進行だったから、すこしは自由に行動できるようにしてやろう」というキモチからだったらしいんですよ。しかし、プレイヤーの感想は逆で、「船を手に入れてから、どこに行ったらいいかわからなくなった」という、不満が多かったという話があります。そのせいかどうかはわかりませんが、その後のドラクエの進化の方向として、自由度を高める方向とは別の方向に進化しているのは事実だとおもいます。もし、この船で自由に動けるようになったことが、プレイヤーに非常に好評だったとしたら、その後のドラクエはいまのドラクエとまったく違った進化をしたかもしれません。そして、日本のゲームに多大な影響を及ぼしているドラクエがそのように変わったとすると、現在の日本のゲームも大きく違っているかもしれないといえると思います。



と、この例はすこし極端かもしれませんケド、本当なら、もっとプレイヤーの自由度が高い、プレイヤーが自由に遊び方を考え、変えていける、「トイ」の様なゲームを作りたいというのは、ゲーム制作者の夢でもあると思うんですよ。



前置きが長くなってしまいましたが、Web サービスが  2.0 の時代になって、このような流れ(ウェブ・サービスを作るときは、あまりきっちりと型にはめずに、少しルーズに作っておいた方が、ユーザーがクリエイティビティを発揮できる)になってきているとすると、ゲームももっとそんなデザインを積極的に考えていって、取り組むべき時代になってきているのではないかと思ってしまいます。



うまくいえませんが、自分としてはなんというか、ゲームというモノが、もっと積極的にその形を変えていけるんじゃないかなとか、思ってしまったんですよね。なんだか、抽象的で申し訳ありませんケド。



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