2014年8月23日土曜日

魔法科LZ 第2回: 制約と誓約

GR003447

 さて、スタートした魔法科高校の劣等生 LOST ZERO(以降、魔法科LZ)の開発ですが、真っ先にやったことがあります。それはスタッフ全員に原作をしっかり読んで、好きになってもらうことです。これまでいろんな原作付きのゲームを遊んできましたが、すばらしいゲームに仕上がった作品もあれば、残念ながらそうではない作品も多く見てきました。それらの間に何の違いがあるのだろうかと考えると、やはり「原作に愛があるのか、ないのか」につきるように思います。原作付きのゲームを作るためには、まず原作を好きならないことには始まらないと確信していました。そのため、スタッフには原作をキチンと読んでもらい、好きになってもらうとこからスタートしたかったのです。そして、その中には自分も含まれます。スクエニさんから話をもらった段階で、自分も原作を書店で見かけたことはあったものの、読んだことがなかったので、すぐに原作のすべての巻を書店で購入し読みました。それと同時に、会社にも文庫本を並べてとにかく原作に触れてもらうようにするところからスタートしたのを覚えています。

 そして、今回の魔法科LZの案件でスクエニさんからは1つ明確なリクエストがありました。

 「未来(1年先)のソーシャルゲームを作ること」

 これです。リリースは1年以上先になるわけですし、現在のものから進化したソーシャルゲームがみたいということでした。
 では具体的に一年先のソーシャルゲームがどういう風になるだろうかという話から始まるわけなのですが、まずはわかりやすく見た目の話から入りました。当時、すでにソーシャルゲームはネイティブアプリが主流であったものの、まだゲーム専用機と比べると、2世代前程度古い感じで、そして 2Dでの表現が主流でした。これが一年後になれば、もっと3D表現を使うタイトルが普通になってくるだろうということで、それらに先んじて3Dをがっつり使っていこうという話になったのです。これに関しては大賛成でした。ちゃんと魔法科のキャラクターをアニメーションさせようとすると容量的にも3Dの方が効率がよいですし、ウチとしてもこれまでのノウハウが生かせます。そして、ではゲームの内容はというと、これが難題でした。ソーシャルゲームのゲーム要素は非常にシンプルです。しかし、とはいいつつもソーシャルゲームよりある程度はゲーム要素を強化したものにするべきだろうという話にはなったのですが、ではどのくらいまで凝ったものにするのか、どれくらいだとスマフォのプレイヤーさんたちに受け入れられるラインになるのだろうかという点はがなかなか見えなかったからです。

 結果から書くと、この内容に関してのツメは結局、かなり長い期間をかけてトライアンドエラーをくりかし、突き詰めていくことになってしまいました。最初の素案から、ゲーム内容のFIX にいたるまでの間、書いた仕様書は数知れず、作成したプレイアブルなプロトタイプでも相当数存在します。開発序盤はまさにスクラップ&スクラップの毎日がくりかえされたのです・・・

 そんななかで、数ヶ月後にはこれで行けるだろうと仕上げた状態のプロトタイプが完成しました!その段階のアプリの特徴を挙げると

  • 3Dをキャラと背景両方、ふんだんに使用した魔法バトル
  • カメラワークもガンガンかわってバトルをもりあげ
  • 操作もキャラのアイコンにタッチするだけで魔法がばんばん発動
  • 必殺技では超かっこいいカットイン!
  • 戦闘の合間には3Dキャラが表情豊かに話すコミュニケーションモード

 スタッフのみんなもがんばってくれ、やれることをすべて全力で盛り込んだつもりでした。そして、意気揚々とプロトタイプ終了審査のプレゼンに望んだのです・・・

 が、プレゼンはなんと失敗!?再検討を求められてしまいました。
 あえなく玉砕してしまったです・・・ orz

つづく

0 件のコメント: